インプラントでの植毛のメリットとデメリットを徹底解説

私は、某植毛クリニックに6年間勤めました。その中で、さまざまな植毛手術に出会い、植毛に関するあらゆる側面を知ることができました。その知識・実績を元に、現在は、植毛の有用性を世間に広め、推奨すべく、あらゆる植毛の疑問に対してアンサーしていきたいと考えています。

髪の毛の増減は、外見に大きな変化を与え、時には、恋愛・結婚、仕事にまで影響を及ぼします。

髪の毛の悩みから脱出するためにも、植毛に関する知識をぜひ身につけましょう。


自毛植毛と人工毛植毛の違い

植毛とは、頭皮に髪の毛を植え込む医療行為。

植毛には、合成繊維でつくられた人工毛を植え込む「人工毛植毛」と、自分の頭髪を植え込む「自毛植毛」の2種類があり、誰でも気軽にトライすることができます。

 

現在の主流は、「自毛植毛」です。自毛のためアレルギーなどの拒否反応が出ることもなく、安全性が高いです。そのうえ、一度植毛すれば薄くならないというメリットもあります。自分の毛のため、抜けてもまた生えてきてくれるのです。出来上がりも不自然になりません。

 

モダアクリルなどを原料とした毛髪素材を植える人工毛植毛は、副作用の可能性が高いため、アメリカでは法的に禁止されており、日本のAGA(男性型脱毛症)治療のガイドラインでも推奨されていません。

 

そのため、最近は自毛植毛を選択する人がほとんどです。

 

植毛の手順

では、実際に植毛とはどのように行われるのでしょうか? 手順を確認していきます。

 

1.カウンセリング(デザイン)

手術前に、カウンセリングを行います。毛髪・頭髪のチェックや採血などの簡単な検査、生活習慣などの質問について回答してもらいます。植毛可能と判断され、医師の説明に納得できたら、移植本数や手術日程、術後のヘアスタイルなどを話し合います。

 

特に術後のヘアスタイルをどのようにデザインするかは非常に重要です。デザインで失敗すると、いかにも植毛したという風に周囲からも見られてしまいます。後悔しないためにも、どのようなデザインが一番良いか医師とよく話し合ってから、決めるようにしましょう。

 

2.術前処置

手術当日はまず術前措置として、後頭部の移植毛採取箇所の剃毛と点滴を行います。剃毛は一部分だけですので、周囲の髪で隠すことも、部分ウイッグを身につけることも可能です。もともと後頭部の髪が短い人はそのままでかまいません。術中の痛みを和らげるため、移植毛を採取する箇所と移植箇所には麻酔をかけます。

 

3.ドナー採取

植毛用のドナー(使用する自毛)を採取します。一般的には側頭部や後頭部など男性ホルモンに対して抵抗力のある生命力の強い毛包を専門家が選出します。どの毛包を選ぶかが、生着率、増毛に大きく関わってきます。一度死んでしまったドナーは二度と使用することはできませんので、丁寧に採取する必要があります。

 

採取した部分の毛髪は、毛包ごと移植してしまうため、その後生えてくることはありません。しかし、後頭部や側頭部などほかの箇所よりも毛量が多い箇所から採取するため、時間が経過すれば、見た目は何ら変わりません。

 

自毛の採取は植毛の範囲によって、そのボリュームが異なります。

 

ドナー株を採取する方法としては、直径1mm前後のパンチやピンセットを使って毛根をくりぬく「FUE(くり抜きグラフト採取)」や、頭皮ごと薄く切除し採取する「FUT(ストリップ法)」などが挙げられます。

 

FUEは、ドナー数が少ないため、狭い範囲での植毛に有効な方法です。メスを使わないため縫合する必要もなく、痛みもありません。一度に大量のドナーをFUEで採取するには、坊主刈りにする必要があり、植毛後のヘアスタイルに困るという難点があります。

 

FUTは、皮膚ごと採取するため、広範囲での植毛に適していますが、採取する場所を間違えてしまうと、将来傷跡が残ってしまう可能性があります。傷跡が気になる方は、ドナーの傷跡を写真で公開しているクリニックもあるので、確認してから手術を受けましょう。FUTはメスを使うため、縫合手術後、数日間つっぱり感を覚える人もいます。

最近は、ドナー採取を自動で行うロボットも誕生しています。

 

採取したドナーは1~5本毛までのグラフト(毛包単位での毛の呼び名)に分けていきます。このように本数ごとに髪を分けておくことで、移植作業時に、自然な仕上がりを実現します。また株分け時に、毛髪に付着している異物を取り除き、キレイな状態にするため、植毛後生着率も高まります。

 

4.ホール作成

事前に確認したデザインに合わせて、移植するためのホール(毛穴)をパンチで作成します。ホールはドナーのサイズに合わせて、0.7mm~1.1mm前後の大きさで作ります。ホールの作成の仕方で、髪の向きや毛量が決まってきます。この過程が自然な仕上がりに寄与するといっても過言ではありません。

 

90年代は、ニードル法といい、採取したドナーを1本ずつニードル法専用の器具にセットして、ホール作成と移植を同時に行う方法が主流でした。一つずつホールを作成するため、時間と手間がかかるため減少傾向にありますが、その分、植毛後の髪の流れが自然などのメリットもあり、現在でもこの方法を採用しているクリニックもあります。

 

またスリット法と呼ばれる、頭皮にメスを入れる方法もあります。一つずつしか移植できないニードル法に対して、スリット法は、一つのスリットに対して2~3株を同時に移植することが可能です。場所によって、毛量を調整することもできます。ある程度毛量を出したい、部分的な薄毛を解消したい人におすすめの方法です。ただ、スリットの入れ方によって、全体の仕上がりが不自然になってしまうなどのデメリットもあります。

 

5.移植(インプラント)

ピンセットや専用のインプランターなどを用いて、毛根も含めた毛包単位で、移植毛を移植します。一つの毛包からは、通常2~3本の毛が生えています。

クリニックによっては、スタッフが一つずつ手作業で移植するため非常に時間と手間がかかる工程です。しかし、この作業を丁寧に行わないと、仕上がりが不自然に見えてしまいます。移植する範囲が広ければ広いほど時間もかかり、数カ月間に2~3回手術を繰り返すケースもあります。

 

いったん生着した移植毛は、自分の髪の毛として生え続けます。最近では、生着率90%を超える植毛も珍しくはありません。たとえ毛周期によって脱毛したとしても、また同じように生えてきます。

 

6.術後

入院や過度の通院の必要はなく、通常、当日中に帰宅できます。翌日は、消毒のため来院が必要ですが、その日の午後からは洗髪が可能なところもあります。ただし、術後1週間は、移植箇所をぶつけたり、擦ったりしないよう気をつけてください。傷口がふさがるまでは、アルコールの摂取や運動など血行を促進することは控えましょう。

 

メスを使った手術の場合、抜糸をする必要があります。最近は、メスを使わない手術も増えてきており、回復も早く、傷跡が目立ちにくいという利点があります。

 

移植した毛髪は一時的に抜け落ちることもありますが、通常半年もすれば新しい毛がどんどん生えてきます。

 

移植後、移植箇所に違和感を覚える人もいますが、数カ月もすれば消えていきます。蒸れることはありません。いわゆる、副作用的なものはないと考えてください。

 

術後はとくにメンテナンスをする必要もなく、定期検診だけ通えば大丈夫です。

定着率が低い場合、クリニックによっては、無料で再手術を受けさせてくれるところもあります。

なぜ自毛植毛の毛は生え続けるのか?

自分の毛を植毛するため、自然な仕上がりが望める自毛植毛。では、なぜ自毛植毛では、毛包を移植しても毛が生え続けるのでしょうか。

 

AGAの主な原因が、ジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモン。このDHTのもとになる物質は、頭部では、生え際・頭頂部・つむじなど、薄毛に悩まされやすい部分にしか存在していません。

 

しかし、自毛植毛では、後頭部や側頭部などDHTのもとになる物質がない部分の毛包を移植します。そのため、一度生着してしまえば、DHTの影響を受けることなく、半永久的に髪が生え続けます。

 


自毛植毛で自分のイメージに合ったヘアスタイルに!

人工毛植毛は人工毛を埋め込むことで、頭皮状態を悪化させ、感染症を引き起こす可能性もあるため、現在はほとんど行われていません。

かつては自毛植毛も「フラップ法」と呼ばれる危険な施術が横行していましたが、現在は「メスを使わない」「痛みを伴わない」「一度手術したら、再手術の必要はない」などテクノロジーの進化とともに、良心的な施術が増えてきました。そのため、薄毛に悩む人にとって自毛植毛は大きな心の支えになるでしょう。

 

自毛植毛の最大のデメリットは、自毛がない人には適用できないこと。そのため、後頭部や側頭部などに毛が残っているうちに手術を行う必要があります。

 

手術というと不安を覚える人も多いでしょうが、上記のように、現代は安全な手術も増えてきました。患者さんの不安を払拭するために、手術の様子を動画で公開しているクリニックもあります。手術の各プロセスについては、「植毛手術におけるホール作成についての解説」「植毛手術におけるインプラント(移植)についての解説」をご覧ください。

 

髪の毛が見た目に大きく作用します。外見に自信が持てないと、仕事や恋愛にも大きな影響を及ぼすことが多いです。そのような事態に陥らないためにも、事前にしっかり情報収集をして、適切なクリニックで、理想のヘアスタイルへと仕上げてもらいましょう。

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